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2024/11/25 09:52 |
第1回 3つの「異色作家短篇集」(ロアルド・ダールほか)

第1回3つの「異色作家短篇集」

(ロアルド・ダールほか)

「異色作家短篇集」は、1960年から刊行された早川書房の海外短編小説集の叢書である。
内容はミステリ、SF、ホラー、ファンタジー、ユーモアなど多岐にわたっている。人間の目をクローズアップした装丁の、ちょっと小型の箱がおしゃれな、いかにも翻訳文学の専門出版社らしい企画だった。
オリジナル版全18巻のラインナップは以下の通り。

01『キス・キス』ロアルド・ダール
02『特別料理』スタンリイ・エリン
03『レベル3』ジャック・フィニイ
04『夜の旅、その他の旅』チャールズ・ボーモント
05『メランコリイの妙薬』レイ・ブラッドベリ
06『炎のなかの絵』ジョン・コリア
07『さあ、気ちがいになりなさい』フレドリック・ブラウン
08『血は冷たく流れる』ロバート・ブロック
09『虹をつかむ男』ジェイムズ・サーバー
10『13のショック』リチャード・マシスン
11『無限がいっぱい』ロバート・シェクリイ
12『壁抜け男』マルセル・エイメ
13『一角獣・多角獣』シオドア・スタージョン
14『破局』デュ・モーリア
15『嘲笑う男』レイ・ラッセル
16『蝿』ジョルジュ・ランジュラン
17『くじ』シャーリィ・ジャクスン
18『壜づめの女房』 ロアルド・ダール他

これらが品切れとなったため、早川書房では1974年に改訂版を出した。下記の12巻である。今回は箱なし、通常の単行本サイズ。

01『キス・キス』ロアルド・ダール
02『特別料理』スタンリイ・エリン
03『レベル3』ジャック・フィニイ
04『夜の旅、その他の旅』チャールズ・ボーモント
05『メランコリイの妙薬』レイ・ブラッドベリ
06『炎のなかの絵』ジョン・コリア
07『血は冷たく流れる』ロバート・ブロック
08『虹をつかむ男』ジェイムズ・サーバー
09『13のショック』リチャード・マシスン
10『無限がいっぱい』ロバート・シェクリイ
11『壁抜け男』マルセル・エイメ
12『くじ』シャーリィ・ジャクスン

オリジナルの18巻がなぜ12巻に留まったのか。期待したほど売れ行きがよくなかったため、再刊企画が途中で頓挫したとも考えられるが、7巻から12巻の順番がオリジナル版と異なっているのも気になる。外されたのは『さあ、気ちがいになりなさい』フレドリック・ブラウン、『一角獣・多角獣』シオドア・スタージョン、『破局』デュ・モーリア、『嘲笑う男』レイ・ラッセル、『蝿』ジョルジュ・ランジュラン、『壜づめの女房』ロアルド・ダール他の6巻。
ブラウンの巻の題名が差別用語に当たる、といった配慮から再刊を見送ったのだろうか、
と勘繰りたくもなる。

ともあれ、この再刊の有無によってオリジナル版のスタージョンやダール他のアンソロジーの巻は古書価がさらに高まったことは事実である。
2005年になって、今度は新装版として同シリーズが復刊された。1974年の改訂版で外れた『さあ、気ちがいになりなさい』や『一角獣・多角獣』、『蝿』が早めの巻に登場するのは、早川書房の編集担当者による罪滅ぼし?だろうか。以下全20巻がそのラインナップ。

01『キス・キス』ロアルド・ダール
02『さあ、気ちがいになりなさい』フレドリック・ブラウン
03『一角獣・多角獣』シオドア・スタージョン
04『13のショック』リチャード・マシスン
05『蝿』ジョルジュ・ランジュラン
06『くじ』シャーリィ・ジャクスン
07『炎のなかの絵』ジョン・コリア
08『血は冷たく流れる』ロバート・ブロック
09『無限がいっぱい』ロバート・シェクリイ
10『破局』ダフネ・デュ・モーリア
11『特別料理』スタンリイ・エリン
12『夜の旅、その他の旅』チャールズ・ボーモント
13『レベル3』ジャック・フィニイ
14『虹をつかむ男』ジェイムズ・サーバー
15『メランコリイの妙薬』レイ・ブラッドベリ
16『嘲笑う男』レイ・ラッセル
17『壁抜け男』マルセル・エイメ
18『狼の一族 アンソロジー/アメリカ篇』
19『棄ててきた女 アンソロジー/イギリス篇』
20『エソルド座の怪人 アンソロジー/世界篇』

と並べてみれば分かるように、結局オリジナル版のアンソロジー『壜づめの女房』は復刊されなかった。その代わりに3冊の新選アンソロジーが18、19、20巻を占めている。

1960年当時はだれも知らず、現在ようやく知られるようになったラテンアメリカ作家ギリェルモ・カブレラ=インファンテや、ようやく全体像が明らかになりつつある古典作家ヒュー・ウォルポールなど、今回新たに加わった「異色作家たち」の短篇がたっぷり3巻分もアンソロジーで読めるようになったのはうれしい。
ただし『壜づめの女房』の復刊を望む声が多いのも、これまた事実だ。(こや)

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2011/01/26 17:23 |
コラム「たまたま本の話」

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