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2024/04/20 03:27 |
第103回 偏愛映画と分からない映画 極私的「気になる10本」を選ぶ 文学に関するコラム・たまたま本の話
第103回 偏愛映画と分からない映画 極私的「気になる10本」を選ぶ

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映画を長年、見ていると、「わがベストテン」といったランキングには入って来ないけれども、妙に引っかかって忘れがたい作品が出てくる。
それにも2通りがあって、分かるから好きなものと、分からなくても心に残るものがある。というわけで、今回は偏愛映画と分からない映画を、極私的にそれぞれ5本ずつ選んでみた。
ご笑覧ください(順不同)。

●偏愛映画5本

① 欲望
監督:ミケランジェロ・アントニオーニ
製作:1967年、イギリス、イタリア
アルゼンチンの作家フリオ・コルタサルの小説「悪魔の涎」を下敷きに、ミケランジェロ・アントニオーニが脚本を書いた。1960年代中盤のロンドンを舞台に、人気カメラマンの主人公が撮った、ある写真にまつわる奇妙な出来事を描く。「スウィンギング・ロンドン」と言われた、当時のイギリスの若者のムーブメントを織り交ぜつつ、サスペンスあふれる不条理なストーリーが展開していく。1967年のカンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞。

② ジョニーの帰郷(TV映画・劇場未公開)
監督:ジョージ・マッコーワン
製作:1971年、アメリカ
1970年代の末ごろ、テレビで深夜放映していたのを、たまたま見た。ずいぶん昔に見たきりなので、実は記憶が薄れていて、ストーリーも多少違っているかもしれない。ベトナムの戦地から徴兵を終えて故郷に帰ってきた主人公のジョニーが、自分の記憶にある姿と全く違っている故郷の町で不思議な体験をしていくという作品。おそらくは当時、泥沼化していたベトナム戦争の従軍兵の後遺症問題が下敷きにある。死ぬまでにもう一度、見たい。

③ 夢の中の恐怖(日本未公開、DVD発売)
監督:チャールズ・クライトン、ベイジル・ディアデン、アルベルト・カヴァルカンティ、ロバート・ハーメル
製作:1945年、イギリス
ある屋敷の主人から改築の仕事を持ち込まれた建築家がその家に赴くと、夢の中で見た人物たちが客人として目の前にいる。彼の話に触発され、客たちは1人1人、自分が体験した奇妙な5つの話を語り始める……。これは世界最古の映画製作会社といわれるイギリスの「イーリング・スタジオ」社の作品。派手なCGで観客を怖がらせようとする最近のホラー映画と違い、グロテスクな描写はなく、心理的サスペンスに主眼を置いた作品になっている。

④ 怪人カリガリ博士
監督:ロジャー・ケイ
製作:1962年、アメリカ
題名から分かるように、サイレント時代のホラー映画「カリガリ博士」(1920)にインスパイアされた作品。小説「サイコ」の作者ロバート・ブロックが脚本を手がけた。撮影監督のジョン・L・ラッセルは、ブロックの小説を原作としたアルフレッド・ヒッチコック監督の「サイコ」(1960)にも参加していた。つまりはヒッチコックへの対抗心に満ちた映画。自動車で旅をしていた女性がカリガリという主人のいる屋敷を訪れ、そこに拉致されて……というストーリー。

⑤ タブー・セックス/恥辱
監督:カーディ・スティーヴンス
製作:1980年、アメリカ
アダルトビデオの登場以前、こうしたジャンルの作品も映画館の大スクリーンで堂々とメジャー公開されていたことを、日本の映画人や映画ファンは忘れてはならない。映画館が「悪所」であったことを再認識してもらうために、往年のアメリカのハードコア・ムーヴィーを1本挙げておく。主演女優はケイ・パーカー。母親と息子の近親相姦を描いたドラマで、当時、話題になった。その後シリーズ化されたが、やはり第1作目が一番すぐれている。

●分からない映画5本

① イレイザーヘッド(1976)
② ブルーベルベット(1986)
③ ツイン・ピークス ローラ・パーマー最期の7日間(1992)
④ マルホランド・ドライブ(2001)
⑤ インランド・エンパイア(2006)

人によっては「オールタイムベスト」や「偏愛映画ベスト」に入れるかもしれない5本を選んだ。ご覧のように、すべてデヴィッド・リンチ監督のアメリカ映画。この監督の作品は、「エレファント・マン」(1980)など数作を除いて、私には理解しがたく難解な「分からない映画」だ。どなたか教えてください。 (こや)



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2019/10/09 13:45 |
コラム「たまたま本の話」

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